先日ETS2SCAがアップデートされたと聞き、さっそく試してみました。
UI周りはちょっと変わったよね?って程度でしたが、中身が色々と新機能や機能追加がございました。
今回紹介するバージョンはプレリリースの第1弾でして、ある意味「お試し版」です。
暫くは安定動作とさらなる新機能のテストを行い、最後にはリリース版として公開される予定だそうです。
今回はETS2SCAの簡単な紹介、及び新機能の解説を中心に書いていきます。
補足
本記事の公開時点では「Prerelease Rev.1.1」が限定公開されておりますが、同梱されている別ソフトへの対応強化や小さな機能追加が主な部分のため、Prerelease Rev.1.0を基準とした記事作成を行っております。 Prerelease Rev.1.1へのリンクは次回の記事でPrerelease Rev.1.0へのリンクと併せてお知らせいたします。
ETS2SCAってなんですか?
前回SCAの記事を書いたのが1年以上前なので、改めてETS2SCAの紹介から始めます。機能説明
正式名称は「ETS2 Status Change Announcer」と言いまして、ETS2のゲーム内の情報をリアルタイムで受け取り、それを音声でアナウンスするソフトになります。走行中の道路の制限速度やクルーズコントロールの設定速度、到着までの予定時間や休憩限界までの時間、目的地までの残り距離などを状況に応じてアナウンスしてくれます。
また、日本のトラックでは馴染みのある「ウインカー動作時に外部で鳴る音声警告」(「左へ曲がります、ご注意ください」って感じの音声) やバック時の警告音声を鳴らすこともできます。
アナウンスする音声は定型文で構成されており、ユーザーが各自で用意する必要があります。
フォーマットはWaveですので、音声だけでなく音楽などを鳴らすことも可能です。
また、簡単にアナウンス音声を作れるように、音声制作用ツールもSCAの制作者とは別の方が制作されてまして、ETS2SCAの配布場所にて一緒に公開されております。
制作ツールについては「棒読みちゃん」やボイスロイドシリーズ(ボイスロイド+系やボイスロイド2)にも対応しております。
動作のしくみ
ETS2の販売元であるSCSソフトウェアでは、ETS2の内部状態を読み出しにも使えるSDKを一般公開しております。 そのSDKを使って作られたソフトで「ETS2 Telemetry server」(以下ETS2TS)があります。 このETS2TSがETS2(またはATS)から取得したデータをETS2SCAがリアルタイムで受け取り、受け取ったデータの状況変化に合わせて設定されている音声データを再生する仕組みとなっています。なのでSCAはETS2TSが出力するデータに依存しており、このETS2TSがここ数年アップデートを行っていない関係上、ETS2で新規に追加された内部情報などはSCAでは扱えません。
扱えないデータの一例
・デフロックのON/OFF
・リフトアクスルの状態
・自己所有トレーラーでの配送終了状態(注1)
注1:ETS2TSでの荷物配達完了フラグの1つに「トレーラーの切り離し」が入っており、フレイトマーケットや外部委託では大丈夫なんですが、自己所有のトレーラーでは配達終了時にトレーラーを切り離さない為、荷物を降ろしても配達状態がETS2TS上では維持し続けるバグというか仕様がございます。
Prerelease Rev1での新機能
いきなり余談なんですが、現在一般公開されているバージョンがVer.1218ddβ4hでして、その後1218ddβ4i、さらに1218dd_Prereleaseとバージョンアップされてますが、この2つは一般配布されておりません。その為この項目では1218dd系を基準にPrerelease Rev1にて追加された機能を解説していきます。
すでに実装されているSCAの機能に関する事は、私のこの記事をご参照ください。 機能設定の解説記事ですが、どんな機能やアナウンスがあるのかはこれを見たらすぐわかるのではと。(記事で使っているVerが1218dcですが、1218ddとほぼ一緒ですのでご安心ください。)
今回のPrerelease Rev1はその2つのアップデートを経たものでして、かなりの機能追加・変更が入っております。
すべて網羅できてないかもしれませんが、同梱されていた修正履歴と実際に触って感じた大きな変更点をピックアップしていきます。
共用メモリモードのサポート
以前のVerではETS2TSとの通信をTCI/IPで行っていましたが、最近のETS2のバージョンアップなどの影響か、通信の遅延が目立つようになってきたそうです。ETS2TSはETS2TS導入時にインストールするプラグイン(DLL)を使ってETS2からデータを収集し、それを共用メモリ上に展開し、展開したデータをETS2TSが取得する形をとっております。 ここまではオンメモリの状態なのでラグが最小限に収まっています。
ETS2TSとETS2SCAのデータのやり取りはTCP/IPを使ったLAN通信(同一PC内部の場合はループバック機能を使ったPC内部での疑似通信)をしており、これがタイムラグを生み出す一因となっているようです。 これ以外にも要因はあるのですが、一番大きいのはここだったそうです。
そのため、ETS2TSのプラグインが情報を展開する共用メモリを、SCAが直接読みに行く動作に変更できるモードを新たに作られました。
これによりTCP/IPを使わないのでタイムラグが減り、従来のモードよりも反応が早くなるケースが増えるとの事です。
また、ETS2TS本体からデータを受け取らない為、今までSCA使用時にはETS2TSの起動が必須でしたが、このモードを使用する場合にはETS2TSを起動しなくても動くようになりました。
但し、SCAがETS2TSから受け取るデータの一部はETS2TS本体で計算されてから出力されていたデータが含まれており、このデータについてはプラグインから出力されないのでSCA内部で予測計算をして対応しているそうです。 なので一部データについては今までより若干の誤差が増えるとの事。
動作が早くなるケースがある+ETS2TSを起動しなくてよいって部分で、負荷やラグ対策になるので嬉しい機能追加だと思います。
従来のTCP/IP通信モードも残ってまして、排他利用可能になっております。
ルート検索案内アナウンスのサポート
荷物を積み込んだ状態、またはワールドマップでポイントを付けて走行ルートを作成した際に、ゲーム内でルート案内を始める際にSCAでもアナウンスを流せるようになりました。この新機能では
・ゲームがルート案内を開始した時
・ゲームがルート案内を終了したとき(目的地付近に到着した時)
・ゲームがルートの再検索を行ったとき(指示されたルートを外れて走行を行った時)
に指定された音声が再生されます。
なお、ルートから外れまくった場合、ルート再検索の度に音声が流れる仕様だそうです。
非常に残念なんですが、ルートを音声で指示する機能ではありません。 現在のETS2TSではルート案内に使えるデータは一切出力されておりません。
駐車ブレーキ警告アナウンスのサポート
特定条件下で、駐車ブレーキが効いている事をアナウンスしてくれます。・エンジンを掛けた時
・アクセルを踏んだ際
このどちらかの状態で、かつ駐車ブレーキがONの場合は専用の警告アナウンスを流します。
音声切替案内のサポート
SCAでは複数の音声データを切り替えて使うことが可能ですが、音声を切り替えた際に音声変更時の専用音声を流します。今まではリストを変更するだけだったので、実際に変わったかどうかは各種案内アナウンスが流れるまで解りませんでした。
このモードを使えば、変更したらその変更した音声の専用アナウンスを即時流すので、その音声切り替わったのかがより明確にわかります。
音声統合後発声モードの追加
音声データを再生する際に、時報などの1つのファイルを再生するときはいいのですが、時刻や速度を再生する際には複数の音声データを再生する事があります。この時に音声と音声の間でCPU負荷の関係でラグが発生していまい、アナウンス音声全体を聞くと若干の違和感(間延び)が出てきます。
今回のアップデートで、この問題に対応が入りました。
統合モードをONにしていると、複数の音声ファイルで再生するデータが発生した際に一旦音声を統合してから再生します。 その際に複数の音声の繋ぎ目も以前のVerより短くなります。
統合にも若干の時間が掛かるので、初めて再生する音声は若干のラグが出る可能性があるそうですが、統合音声は一時的にキャッシュされるので、2回目以降はラグの少ない状況でアナウンスしてくれます。 (このキャッシュはSCAを終了させると消去されます)
機能の追加や変更については以上です。
これらと一緒に、以前のVerで発生していたウインカーアナウンスの不具合と、SCAのバックグラウンドで動くプロセスの異常終了時の処理問題の修正も行われております。
また、ETS2SCAの配布ファイルの中に「ETS2HMD」が 同梱されています。
このソフトは、ETS2TSのDLLから出る情報を受け取って、ヘッドマウントディスプレイの様にトラックのフロントウインドウ上に各種情報を表示してくれるソフトです。
ETS2HMDについては自分が使用していないので、詳しい解説は行いません。 あらかじめご了承ください。
最後に
まだSCAを使ったことが無い方には伝わりにくいと思うのですが、SCAを使ったことがある人のほぼ全員が「このアップデートを待ってたんだよ!」って気持ちになったんじゃないかな?って思います。ETS2TS本体が不要で単独起動が可能になったことと、音声統合モードにより一部音声の不自然さがほぼ解消された事により、運用面と使用面ですごく進化が進んだと感じております。
またお使いになってない方は、一度導入を検討してみてください。 私がYoutubeで配信する際に、MP以外での配信の場合は基本ETS2SCAを使ってるので、どんな感じになるのかは配信やそのアーカイブで確認できると思います。 よかったら一度見てくださいね。
次回の記事ではETS2SCAの導入法を解説していきます。
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